14. 今の世の中が向かってしまっている方向

心の苦しみを楽にできない子供たちは今
これまで説明したような事情によって
- つらい気持ちは我慢し耐えるしかしょうがない
- つらい気持ちになら内容に、反省して、頑張るしかない
というように、子供たちは考えがちになります。
親が子供の気持ちを大切にして関わったとしても、構造の問題で、多かれ少なかれ、そう思いがちな傾向を持ってしまいます。
そこまでの流れを第1段階としたときに、 そして、実は、
- そう考える傾向性を持ってしまった子供たちが成長し、親になり子育てに直面している(第2段階)
- そのような傾向性をもった親に育てられた子供たちが、成人し始めている(第3段階)
という段階にまで進んでしまっているのが、現在の状況だろうと想像しています。
そうなると、もう、構造の問題ということだけではなく、親には子供を苦しめようというつもりはないのに、意図して心の苦しみを解決できない方法を植えつけてしまっているような状態になってしまうのです。
人の心が直面している変化の流れ
ほとんどの場合、親には悪意はなく、子供のためにと思って考え、行動しています。
ですから、この流れを止めるのは、今の認識のままでは非常に難しいような気がします。
しかし、このまま放っておいては、その傾向は、時代の進行と共に、加速度的に強化されていくだろうことは、何となく想像していただけるのではないかと思います。
最悪の事態を回避するために、我々がすべきこと
教育改革やいじめ対策、ニート対策をはじめ、社会を改善するために色々な対策が考えられていますが、そんなたまたまの問題意識によって、個別の対応をしていても追いつかないのではないかと思います。
『こころ救済システム』の崩壊の連鎖を止めること、それが現代社会において、最も重要で緊急を要する課題なのではないかと考えています。
そのためには、「他人が何かをしてくれる」、「誰かが何かを解決してくれる」ということを待っていたのでは手遅れになるかもしれないととても心配です。
誰かに何かを望むのではなく、私たち一人一人が、自分の『こころ救済システム』を機能する状態に復活させようと取り組み始めることこそが大切ではないかと思っています。
表現が難しかったかもしれませんが、簡単に言うと
ということです。
「世の中を変えなければならない」なんて、大げさなことを思わなくても、
- その重要性にそれぞれの人が気付くこと
- それぞれの人が自分のこと(自分の心の苦しさを楽にしようとすること)に取り組み始めること
たった、それだけで良いのだろうと思います。
それだけのことで、きっと、政府などの大方針に頼らなくても、心を大丈夫にする動きは、自然に日本人の心に広がっていくのではないかと思います。