PTSD(心的外傷後ストレス障害)
説明
心的外傷後ストレス障害 自己や災害、戦争など、生命に危険が及ぶほどの体験をしたり目撃した後に見られる精神障害。直接的危険が去った後に見られるものをPTSDといい、直後のものは急性ストレス障害と分類される。
主な症状はフラッシュバックのように、苦痛なイメージの「侵入的反復的想起」、感情の幅が狭くなる、将来に対する希望が持てないなどの「感情麻痺」、浅眠、小さい刺激に対する大きな驚愕反応などの「覚醒亢進状態」の三種類である。
【精神科ポケット辞典[新訂版](弘文堂)、「心的外傷後ストレス障害」より抜粋】
もう一つの説明
何をこのように呼んでいるかによって、人それぞれにその捉え方が違っていて、それは凡そ次の2通りに分類されます。
- 過去に自分が恐怖を感じた環境に、今もなお置かれているように感じて、精神的・身体的に警戒し続けている状態(トラウマと混同してしまている)
- 過去に臨場したり目撃したりした衝撃の場面の記憶が生々しく残った状態で、何らかのきっかけによって、その場面やその場面での感情が生々しく想起されてしまう
【参考】 トラウマ
ここでは、この言葉の混乱を含めながら、フラッシュバックを伴うようなもともとのPTSDについて説明していきます。
このサイトのどこかにも書いたと思うのですが、何らかの病気や症状を指す名詞を自分に当てはめてしまうと、
- 自分 = 定義された病気や症状
と認識してしまいやすくなります。 その結果、
- それを治す、治さない
- それが治る、治らない
- 過去の記憶によって、つらい状態になっている
というように、病気や症状がどうなるかということばかりに意識が集中してしまい、自分の気持ちと向き合えなくなってしまうところがあります。
ですから、まず、今の自分が何によってどういう状態に陥っているのかを、再度、見つめ直すことが大切です。
心的外傷後ストレス症候群やPTSDなどという言葉を使ってしまうと、大抵の場合、 というように、問題は過去にあると錯覚してしまいます。
しかし、実は、そうではないのです。
「いつの自分がつらいのですか?」 もちろん、そのときもつらかったとは思うのですが、今となっては、それはもう終わったことです。
ですから、『過去の自分が、今つらくなっている』ということはあり得ません。
つらさを抱えながら戦っている今の自分を安心させるための材料は、今の自分の身の回りに見つけるしかありません。
「見つけるしかありません」と書くと諦めの気持ちがあるように錯覚させてしまうかもしれませんが、そうではなく、
- 今の自分の身の回りにこそ、今の自分を安心させるために十分な材料が揃っている
ということです。
逆に、過去には、自分を安心させるための材料は何もありません。
つまり、
- 自分の身の回りにあるそれらのことが見つけられなくて困っている
- 見つかっているけど、それが得られなくて困っている
ということができるのです。
そんなことを思いながら、少しずつ過去にさかのぼっていくと、
- いつもそのような状態であったこと
- そして、その出来事の最中や直後にも、そうだったということ
- その時々においての『今の自分』を安心させてあげられていなかった
- たった今の自分を、今安心させてあげるようにする
に気付くはずです。
しかし、気付いたからといって、何も過去の自分の行いを重く受けとめ、悔いる必要はありません。
これまでは、 ということに気付き、これから先は、 というだけのことなのです。
もし、フラッシュバックなどによってパニックになりそうになったとしても、一人でそれを乗り越えようとしないで、誰かに支えてもらって下さい。
- 一人きりで我慢すること
- 一人きりで耐えようとすること
- 一人きりで乗り越えようとすること
それが、いつまでもフラッシュバックから解放されない原因だと考えています。
身近な人に話すのは難しいと感じるときは、心理カウンセラーなど心理の専門家を活用するのも一つの方法です。
一人で抱え込まずにつらい気持ちを十分に話し、気持ちを受けとめてもらう中で、これまで押さえ込んでいた感情が開放され、自分の気持ちを安心させる方法も理解し、やがて自分にとっての安心を手にいれ、PTSDかという言葉を意識しなくても良くなっていきます。