心を楽にするために振り返る子育て

03.「心を回復する機能」と「心を守る機能」との関係

図1と図2を統合すると図3のようなグラフになります。

この図3のグラフは、次の2つの見方が出来ます。

  • 単純に、「心を回復する機能」と「心を守る機能」の関係性を表している
    • 「心を回復する機能」の活性度が高くなると「心を守る機能」の強度が弱まり、「心を回復する機能」の活性度が低くなると「心を守る機能」の強度が強まる
  • 体験毎の「心を守る機能」と「心を回復する機能」の比率を表している
    • 様々な体験(出来事)ごとに、心を守る機能と心を回復する機能の働かせ方には、人それぞれ固有の比率を持っている。
    • 「心を守る機能」の強度の弱い体験は「心を回復する機能」の活性度が高く、「心を守る機能」の強度が強い体験は「心を回復する機能」の活性度が低いということもできる。

ここでを次のように位置付けると、もう少し意味を付け加えて解釈をすることが出来ます。

  • Yn   : 個人毎に獲得した値 (n=1,2,3、… )
  • Ym  : その時代や社会に人が持ち得る最大値(max)
  • Ymm : 人類が持ち得るの最大値 ※Ymmは、人々や社会が全てのこだわりから解放され、「心を回復する機能」を最大限に活用出来るようになった状態

個人個人の心の状態をYn、社会(集団)の心の状態をYmを用いて解釈してみます。

03-01.個人を理解する

Y = Yn として考えます。

図4のグラフ上の座標は、個人が遭遇する体験の種類を表します。

y = cx よりも上が「心を回復する機能」が働きやすい体験で、下が「心を守る機能」が働きやすい体験です。

全体をみると、その人の体験が、どのような比率で「心を回復する機能」が働かせやすい体験と「心を守る機能」を働かせやすい体験とに分かれているのかのバランスを見ることができます。

図4から分かること

  • 『心を守る機能』を強く働かせて自分を守っている出来事や状況に対しては、緊張し苦しい気持ちで自分を守ろうとし、もし、それを体験すると、心は更に苦しくなり回復できなくなります。
  • 『心を回復する機能』が活性化している分類の体験に対しては身構えることなく対処できます。また、仮に、それを実際に体験することになって心が苦しくなっても、比較的容易に心を楽な状態に回復させることができます。

「心を回復する機能」と「心を守る機能」の比率による解釈

「心を回復する機能」と「心を守る機能」の比率が変わる線 y = cx を基準にして、次のように理解することができます。

  • 「心を回復する機能」  > 「心を守る機能」 : 特に構えていない楽な体験で、もし、その体験をしても心を楽な状態に回復できる体験
  • 「心を回復する機能」  「心を守る機能」 : 緊張して構えてしまう苦しい体験で、もし、その体験をすると、なかなか心を楽な状態に回復できない体験 (トラウマは心の苦しさを回復できなかった体験。ただ、これも、回復する方法が分かれば、いつでも回復できるもの)

「心を回復する機能」の活性度 と 日常生活で感じる苦しさ の関係

図5では、の値はY0、Y1、Y2…、Ymのように、個人によって変化する行動の分布グラフを別々に表しています。

また、人が経験する精神的負荷の高い出来事や状況は、一定範囲に収まると仮定して、Y0、Y1、Y2…、Ymから出る矢印の長さは一定にしています。

y = cx よりも下に分類される体験の比率が、上に分類される体験よりも大きくなると、生きていることが苦しく感じるようになります。

逆に、上に分類される体験の比率の方が大きくなってくると、生きていることが楽に感じるようになっていきます。

※体験は、「過去の実体験」ではなく「未来の体験」を指します。

図5から分かること

  • の値が低くなると、心の苦しさを回復させられる確率が下がり、心の苦しさから抜け出すことが困難になっていく。また、心を守る機能の強度が心を回復する機能の活性度を下回る体験が増えるため、日常の生活の中の緊張の割合も大きくなる。
  • の値が高くなるほど、心の苦しさを回復させられる確率は高まり、楽な心の状態に回復することが容易である。また、心を守る機能の強度よりも、回復の活性度が高い体験が多いため、日常の生活は、楽にしている比率が高くなります。

Yの値毎の解釈

  • Y = Ym のとき : 苦しくならないということではなく、苦しくなっても直ぐに回復できるので、苦しさが気にならない(心が楽であるということに執着しない)ということです。
  • Y = Yn (n=1,2,3… )のとき (Y0よりも上のとき) : これまでの「心を守る機能」への執着に気付くこと(気づき)によって、これまで諦めていた「心を回復する機能」に意識が向くようになれば、心は楽になる。また、の値はYmの方向へ活性化する。(Y1のグラフに例示)
  • Y = Y0 のとき : 心を回復する機能の基礎がないと、意識が心を回復する機能に向かうことはまずない。ですから、「心を回復する機能が誰にでも備わっている」「心を回復する機能を活用すれば、誰でも楽な気持ちになれる」という事実をまず知って、それを信じることが大切です。

03-02.社会を理解する

Y = Ym として考えます。

図6のグラフは、「心を回復する機能」と「心を守る機能」の比率によって生じる人の性質を表しています。

図6のグラフ上の座標は、人の性質(状況や出来事などに対して、「心を回復する機能」と「心を守る機能」のどちらが働きやすいかの比率(こだわりの強弱)を表しています。

Ymは、その時代、もしくは、その社会の人が持ち得るMAX(最大)の心を回復する機能の活性度を表しています。

図6から分かること

  • 「心を回復する機能」が活性化されると、「心を守る機能」は弱まります。
  • 人ごとの「心を回復する機能」と「心を守る機能」の比率によって心が抱える苦しさの度合いが決まると考えることができます。

「心を回復する機能」と「心を守る機能」の比率による解釈

「心を回復する機能」と「心を守る機能」の比率が変わる線 y = cx を基準にして、次のように理解することができます。

  • 心に苦しさを抱え込まない人(心を苦しさから回復できる人)  : 

    「心を回復する機能」  > 「心を守る機能」

  • 心に苦しさを抱え込んでしまう人(心を苦しさから上手く回復できない人) : 

    「心を回復する機能」  「心を守る機能」

社会の状況 と 心に苦しさを抱える人 の関係

図6と同様に、矢印は、人の分布を表しています。

  • 図7では、社会が持つ心を回復する機能の活性度の値が、社会の性質によって、Ym0、Ym1、Ym2、Ym3、…Ymm と変化することを表している
  • また、人が経験する精神的負荷のある出来事や状況は、一定範囲に収まると仮定して、Ym0、Ym1、Ym2、Ym3、…、Ymm から出る矢印の長さは一定にしている

図7から分かること

  • 社会のYmの値が下がると「心の苦しさを回復できない人」の割合が高くなり、Ymの値が上がると「心の苦しさを回復して楽な状態を保つことができる人」の割合が高くなります。

Yの値毎の解釈

  • Y = Ymm のとき : 社会の全ての人は心が苦しくなっても、心を楽な状態に回復させられるようになっている。
  • Y = Ymn (n=0,1,2,3… ) のとき: 心に苦しみを抱える人も存在するが、心を楽な状態に回復できる人も存在する。心に苦しみを抱えている人は、自分のこだわりに気付き、意識の方向が「心を回復する機能」の方向に変われば、心を楽な状態へ回復させることができる人へと変わっていき、社会の中の楽な気持ちで暮らしている人の割合が増え、心の苦しさから抜け出せない人の割合が減っていく。
  • Y = Ym0 のとき : 社会の全ての人が生きることが苦しいと感じ、更に、その苦しさから抜け出すことが出来ない。
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