あとがき
私は、自分の心の苦しさを解消するために、「原因を解決する」という方法を選び、その結果、ずっと、心の苦しさの原因を考え続けてきました。
しかし、心の苦しさを解消するためには、別に、苦しくなる原因が分かる必要はないというのが、私がたどり着いた結論です。
理解しなければならないのは、苦しさを解消する方法です。
仮に、原因を追及するにしても、それは、苦しく感じてしまう原因ではなく、「どのような状態だから心の苦しさを解消できないのか」ということと、「どういう事情によって、心の苦しさを解消できなくなってしまったのか」ということです。
苦しいことを苦しいと感じるのは当然のことなのですが、これを「苦しいことを苦しく感じてはいけない」と誤解させられてしまった人たちが、心の苦しさという迷路から抜け出せなくなってしまうのです。
「最初は知っていたのに、次第に分からなくなってしまった」、或いは、「子供の頃に体験を通して教えてもらえなかったので、もともと知らなかった」という違いはあるかもしれませんが、その辺りの経緯は気にせずに、心の苦しさを解消する方法を知り、実践できるようになりさえすれば良いのです。
本書が、心の苦しさを、考えることによって解決しようとして抜け出せなくなってしまった方々が、考える以外の方法にも、心の苦しさを解消できる可能性を感じて頂くきっかけになることを願っています。
心の苦しさの原因は、心に苦しさを抱えている人ばかりではなく、次のような人の影響も受けて、引き起こされるところがあります。
○心について誤った理解をしている人
○自分の苦しさに気付いていない人
ですから、心の苦しさを抱える人以外の方々にも、心に関する理解を深めて頂くことが、「心に苦しさを抱える人を新たに生み出さない社会」、「心に苦しさを抱えてしまった人を救うことができる社会」を実現するためには、とても大切なことだと考えています。