01 偽解決
偽解決とは、「それを実現できれば問題が解決する」と思い込んでいるけれど、本当の解決には結びつかない解決策です。
心の苦しさを解消するために作り出された偽解決には、「決して解決されてはいけない」という使命があります。
なぜなら、それが解決しても心の苦しさは残ったままとなるからです。
心の苦しさが残ったままなのに、「心の苦しさを解消できる」と考えていた課題が解決してしまっていたら、心の苦しさを解消するための目標がなくなってしまいます。
そして、別の苦しさの原因を探すために、色々なことを疑ったり否定したりするような苦しい作業をしなければならなくなったり、最悪の場合は「心の苦しさはもう解消できない」と絶望することになります。
ところが、それを解決できないままにしておけば、「それさえ解決できれば心の苦しさから解放される」と希望を持ち続けることができ、絶望の苦しさからも守られるのです。
何かを解決することによって間接的に心の苦しさを解消しようとするのではなく、心の苦しさそのものに働きかけて心の苦しさを解消しない限り、心の苦しさからも「心の苦しさがその原因(偽解決)を作り出してしまう状態」からも抜け出すことはできません。
ほとんどの人は「卵が先か、鶏が先か?」という問いの答えにはこだわらないのですが、「原因があるから苦しいのか、苦しいから原因と思うのか?」という問いには、「原因があるから苦しい」という答えにこだわってしまいます。
しかし、ほとんどの場合は、心が苦しいから、苦しさを解消できると思えることを見つけ出し、それを苦しさの原因としてしまっているのです。