心を楽にするために振り返る子育て

05. 群れられなくなる人間

なぜ、人は正しい群れを作ることが出来なくなるのでしょう?

ここでは、そのことについて説明します。

06-01. 『自己防衛機能』を他者に委ねられなくなる事情

子供に次の例のように接すると、子供は他者に守る機能を委ねられなくなってしまいます。

【例】

  • 泣いても、そのままに放置する
  • 泣くと、逆に、「泣くな!」と責める
  • 過ちを責め立てる
  • 過ちを許さない
  • 過ちは自分の責任なのだから自分で解決することを強いて、つらい気持ちのままに放置する

これらは親の思い込み、社会の常識、親が身に付けた条件反射に基づいた「しつけ」の一環として行われる行動です。

親が、つらい気持ちになった子供に、このように接し続けると、子供は「自分のことは自分で守るしかない」と感じる状況に追い込まれてしまいます。

なぜなら、

強い相手に対して腹を上に向けて寝転がって、「私は、あなたに守ってもらいます」と服従の姿勢を示したにもかかわらず、さらした腹部に噛みつかれる

ということと同じ意味の体験をさせることになるからです。

腹に噛みつかれる経験を繰り返した犬が、他の犬には決して腹を見せなくなり、逆に、キバをむいてしまうようになるということを考えると、子供も同様の反応を身につけてしまうことが心配されます。

【補足】
もちろん、叱ることも大切です。
子供を叱る場合は、親の役割分担(叱り役とあやし役)が重要です。この親の役割分担によって、叱られるという経験でも、子供は「腹を見せて安心な気持ちにしてもらう」という習慣を身につけることが出来るのです。

このような状態を続けていると、心が苦しくなり、自分の気力だけでは自分を守れなくなり、外の世界から自分を物理的に隔離することで、ようやく自分を守れるような状態に陥ります。

家という枠に閉じこもるのは家の外の世界から、自分の部屋に閉じこもるのは家族から、自分を守る物理的な壁が必要になるのです。

ただ、家族の守りがあるときは、自分を守るための物理的な壁は必要ありませんし、安心感に包まれて外へ出ていくことが出来ます。

ですから、通常は、自分の部屋にこもるようになります。

06-02. 『自己防衛機能』を他人に委ねられなくなった時の行動

人が『自己防衛機能』を人に委ねられなくなると、その機能のほとんどを自分自身の中に取り込んでしまいます。

その結果、次のような行動をとるようになるのです。

  • 『自己防衛機能』を、自分や他人に委ねようとする人を攻撃する

  • 他者とのつながりを持ちたいという本能的な欲求を、力によって相手を支配することで実現しようとする。(擬似的な群れを形成しようとする)
    • 身体的な力
    • 心理的な力
    • 学力
    • 経済力
    • 権力・権威

06-03. 『自己防衛機能』と孤独の関係

これらのように、自分自身が自分を守ろうとすることが、心の苦しさの原因であり、また、『心を回復する機能』を使えなくなる原因でもあるのです。

「人とつながりたい」(認めて欲しい、受け入れて欲しい…など)といったことで悩んでいる人は意外に多い気がします。

「人とつながる」とは一体どういうことを指すのでしょうか?

心の苦しさを抱えている多くの人が、催眠療法などで、『自己防衛機能』を持つもう一人の自分が、心の中で大きな存在となっていることに気付かされます。

これが、『安心空間』を作ることを妨げます。

この『自己防衛機能』を相手に委ね、相手がそれを受け入れ始めて『安心空間』が作り出され、それによって生じる安心感が、「相手とつながっている」という感覚なのです。

この感覚が足りないことが、現代の人の多くが感じている孤独感の正体なのです。

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