心を楽にするために振り返る子育て

03.文化的側面

3.文化的側面

個々の人間を見れば、生まれてから死ぬまでの年月は、運が良ければ、70~80年と限られています。

しかし、人類というマクロ的な見方をすると、今は常に存在し続ける状態を保っています。

このことが、人類が生きていくための術を、社会の中の文化として、存続させることを可能にしています。

ここでは、『先天的ではなく、他者を真似することで後天的に身につく能力を伝える方法のこと』を文化と表現しています。

その中で代表的なこととしては、

  1. どのように食物を獲得するか
  2. どのように存在するか(住居など日常のありよう)
  3. どのように言葉によって意志を伝達するか

などが挙げられます。

なかでも言葉は人類の特徴といえます。

人類が生きていくための術は、家族の習慣や、(現代においてはあまりないかもしれませんが)地域の習慣となり、無意識的に受け継がれます。

それが正しいかどうかは別にして、その地域や場所に属する人達が、それまで安全に生きることが出来た証であることは確かなことだろうと思います。

現代社会における文化的な伝達

狩猟民族や農耕民族などにおいては、「食物を獲得する方法を伝える」ということを考えると、非常に理解しやすいと思います。

例えば、親が魚を捕まえるのを真似してその子供が魚のとり方を習得するといった感じで魚のとり方が代々伝わっていきます。

しかし、ある側面から眺めたら『進歩しているように見える現代』においては、そんな大切な生きる術は、身近な人から教えられることが非常に少ないように思われます。

親は、義務教育や教育社会が主張する妄想を信じ込んで、「それに従っていれば大丈夫」と安心しきっているところがあります。

逆に、それに「従わなければ、不幸になる」とさえ信じているように思えます。

また、テレビなどマスメディアによる興味本位や商業主義の報道、書籍、雑誌やインターネットなどにより情報の氾濫しています。

しかし、現実は、実は、何をしていても生きていけるところもあります。

そのように価値観が定まらない状況の中で、自分の生き方を見つけださなければならないのが、現代の子供達なのです。

ある意味、自由で恵まれているようにも思えますが、死ぬまで生きていくためのノウハウを身につけるという生物としての本来の目標からそれてしまった結果、非常に不安定な状況に人類は立たされているのです。

親の方も、このように選択肢が多すぎると、真剣に子供に生きる術を教えようとしても、何を教えればいいのかが分からなくなってしまいます。

今の時代は、そんな不安定な状況にあるということを認識しておく必要があります。

そして、そんな不安定な社会で育った親が、次の世代の子供を育てるということは、その子供に何か悪い影響を与えてしまうだろうと思います。

動物の文化

自然界では、ひよこが一番初めに見るものは、「親」である確率は非常に高いので、始めて見たものを手本とするような大雑把な遺伝的指令でも十分だったのだろうと思います。

そして、大半のひよこは、無事に本当の親を手本として行動をするようになります。

アヒルの親は、ひよこが将来できるようになるだろう能力を既に実践しています。

たとえば、あたりまえのように水の中に入っていき、水上を優雅に泳ぎます。親と同じ行動をするひよこも、それにつられて水に入っていき、自分には泳げる能力があることに気付くのです。

(本当の気付きが起こるかは別ですが・・・)

ひよこが親に育てられなかったら、恐らく、自分が泳げることに気付ずに『泳がないアヒル』になってしまうでしょう。

そういう意味では、アヒルは、泳ぐ・飛ぶ等の方法を子孫に伝える方法として、本能的(遺伝子的)な伝達ではなく、文化的な伝達を選んだ動物だといえます。

なぜ、それらの伝達方法が、本能的であったり、文化的であったりするのかということは、

    • 多年にわたりって世代が重なり合うように存在している動物(昆虫や微生物も含めて)か?
    • 世代が重なり合わない動物か?
    ということ
  • 伝達すべきことの難易度

などについて研究すると、規則性や方向性などが明らかになるのだろうと思います。

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