14 「心理カウンセリングをやめたい」と思いながら続けているとき
相談者が心理カウンセリングに対して、主体性を持つことが難しい事情について説明します。
時々「心理カウンセリングをやめたい」という悩みを聞くことがあります。
その気持ちは、細かく分析すると、次のようなものだろうと考えています。
(1)「心理カウンセリングで心の問題が解決するらしい」という情報を知っている
(2)自分の心の問題も解決することを期待して心理カウンセリングを続けている
(3)でも、「心は楽になっていない」と感じている
(3’)逆に、「心が苦しくなっている」、「心理カウンセリングが苦しい」と感じている
(4)「楽にならないのなら、心理カウンセリングを受ける意味はない」と思っている
(4’)「苦しいだけなら、もう心理カウンセリングはやめたい」と思っている
(5)役に立たないように感じていても、続けていれば、心は楽になるかもしれないという期待もある
(5’)心理カウンセリングの苦しさを乗り越えれば、心は楽になるかもしれないという期待もある
(6)心理カウンセリングが、どのような理屈や流れで心を楽にするのかが分からない
(7)だから、「続ける」か「やめる」かを主体的に決断できない
実際には、「心理カウンセリングをやめる」と決断しても、第三者から強要されて続けざるを得ないこともあるかもしれません。
しかし、いずれにしても、心理カウンセリングを続けるかやめるかを迷っているときは、(1)~(7)のようなところで迷っているのだろうと思います。
また、心理カウンセリングを始めようとするときにも、これと同じような迷いが生じるのではないかと思います。
実際に心理カウンセリングをはじめても、具体的に心が楽になる道筋を説明してもらえることは、あまりないと思います。
だとすると、心理カウンセリングで何らかの手応えを感じられなかった場合、心理カウンセリングを継続することを支えるのは、「心理カウンセリングによって心が楽になるかもしれない」という漠然とした期待感しかないことになります。
心理カウンセラーが手応えを感じられるような場面を作っても、そこで相談者が何かに気付かない場合にも、相談者は手応えがないと感じてしまいます。
ですから、心理カウンセリングによって心が楽になる理屈が分かれば、「せっかく継続的に心理カウンセリングを受けているのに、いつも半信半疑でいるため有効に活用できない」といった状態には陥りにくくなると考えられます。