躁(そう)状態
説明
躁状態 感情、意欲、思考がともに高揚、亢進した状態で、爽快気分、行為心迫、観念奔逸によって特徴付けられる。
楽天的・誇大的で上機嫌の反面、易刺激的で些細なことに怒りやすい。
多弁で話題は逸脱しやすいが、支離滅裂とは異なる。疲労感が消失し、不眠、食欲・性欲の亢進がみられる。
躁病においてその典型例をみるが、器質性精神病、症状性精神病、中毒性精神病にもみとめられ、また、統合失調症に出現した場合は躁病との区別が困難なことも多い。
【精神科ポケット辞典[新訂版](弘文堂)、「躁状態」より抜粋】
もう一つの説明
心理百科事典の方で仮説を説明していますが、躁(そう)状態は
- 自分にとって良いことがあっても、それを自覚できず、また、それによって生じた快感を誰か他の人に話して排出することができないときに陥る状態
ではないかと想像しています。
普通の人でも、とても良いことやおもしろいことがに遭遇したとき、その時近くに話せる人が居ないと、話したいワクワクしたような気持ちを必死にこらえ、ハイテンションになってしいます。
そんな時、話せる相手を得ると、自分の体験を堤防が決壊して水があふれ出るように話します。
そして、気分は、穏やかな状態に戻すことができます。
この自分にとって良いことや楽しいことを話せなくなる事情を創造してみると・・・
例えば、子供の頃に、
- 自分に嬉しいことが合って、それを親に話しても聞き流されてしまい、一緒に喜んでもらえなかった経験が多かった
- 自分の感情とは別に、親の喜ぶこと(例えば、テストの点が良い、先生に褒められる・・・など)を、自分の嬉しいこととしなければならなかった
などということがあげられるのではないかと考えています。
そのような経験を繰り返していると、「自分の嬉しい感情はつまらないもの」と認識するようになり、その時々の自分の感情を排出できなくなってしまいます。
不快な感情を排出できないと、心は慢性的な苦しさを抱えるようになりますが、快の感情もそれを抱え込んでしまえば、やはり楽な状態ではなくなってしまうのです。
擬似躁(そう)状態
『擬似躁(そう)状態』という言葉は、世の中にはないと思うのですが、私の個人的な経験から、こんな状態もあると思っています。
簡単に説明すると、
と表現できると思います。
ちょっと、やけくそになっている状態です。
傍から見ると、
- とても前向きで明るい状態
- とてもプラス思考に思える状態
- 力みを伴った元気で明るい状態
に感じると思います。
でも、本人は、必死になって、『うつな気分』を吹き飛ばそうともがいているのです。
これは、ひとりになったとき、ハイテンションのままかどうかで、区別できるのではないかと考えています。
他の人といるときは、そうやって頑張っても、一人になると、素の自分に戻るからです。
『擬似躁(そう)状態』のときは、きっと、うつな気分に浸っているだろうと思います。
このような場合は、他人には『躁(そう)状態』に映っても、本人の気分は『鬱(うつ)状態』なのです。
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