心を楽にするために振り返る子育て

10. これからの過ごし方

10-1.違和感に慣れようとする

10-1-1.良いこと

相手の好意的な言葉や行動に、イライラしたり、ウソっぽさや裏があるように感じる時は、直ぐには反応せずに、まず、状況や相手の言葉を客観的に考えてみましょう。

もし、それが「自分にとって嬉しいことかもしれない」と思えるなら、相手の言葉の文字通りの受けとめることに慣れようとして下さい。

あなたの嬉しさを、あなたの友達など、他の誰かと共有することは、その嬉しさをより確かなもにすることを手伝ってくれると思います。

【まとめ】
  • 自分にとって好ましい事を、嬉しいと喜ぶことに慣れようとして下さい。
  • 自分の喜びを、それを共有してくれそうな他の誰かに話すようにしてみましょう。

10-1-2.悪いこと

自分にとって悪いと感じることでも、そこに相手の悪意が含まれていないとしたら、そのことにこれまで思ってきたこととは違う意味があるのかもしれないということを考えてみて下さい。

【まとめ】
  • 相手の言葉は、自分の意味づけではなく、相手の意味づけで理解しようとすること

10-2.嫌な感じと正しく向き合う

「人と話すのが怖いと感じ、人と会うことを避けたくなる」ということを例に説明します。

この状態を詳しく説明すると次のようになります。

人と話すのが怖いと感じるのはいけない事だと考えているので、いけないと感じる感覚が自分起きないように、それが生じそうな状況を避けて、怖いという自分の感覚から自分を守ろうとしている

これは、

  • 人と話すということを避けているのではなく、『怖い』という自分の感覚を避けようとしている

ということです。

このように理解するようにすると、今まで心の中で固く結びついてしまっていた『状況』と『感覚』を少し分離して認識できるようになってきます。

次に、最も大切なことなのですが、

  • ネガティブな感情を感じたあとは、心の疲労を癒す方法を考え、実際にそれをしっかりと実践していくこと

です。

あとまで待たなくても、その時々に癒しを与えていく方法もあると思います。

ネガティブな感情や感覚を感じても、疲労した心は必ず癒されるということが理解できてくると、これまで耐え難かったネガティブな感情や感覚も、心地良いストレスへと自然に変化していきます。

『自身が無い』とは、自分にネガティブな感情や感覚が起こったとき、それにどのように対処したら良いのか分からないという気持ちのことを表現しているのです。

【まとめ】
  • ある状況で嫌な感覚を感じたとき、「その状況が苦手だ」とは認識せずに、自分の苦手な感覚として捉えようとして下さい。
  • 嫌な感覚を感じないようにするのではなく、その感覚によって疲労した心を癒す方法を身につけ、実践するようにして下さい。

10-3.自分の求めているものを与えてくれる相手を探す

自分が満たされる為の要求の全てを一人の人に求めても、その全て与えてもらう事は到底不可能なことです。

「褒める」ということをとってみても、その対象や基準は様々です。

  • テストで70点とったとき、褒める人もいれば、貶す人もいます。
  • 英語のテストで1番になったら褒めるけど、音楽のテストなら無関心な人もいます。

ですから、自分が満たされる為には、自分の要求の対象となる相手を多数の人々によって構成するしかありません。

念のために繰り返しておきますが、特定の個人と深く関わりを持つことが悪いと言っている訳ではなく、一人に全てを求めるには無理があると言っています。

そういう意味で、多くの人とコミュニケーションを持つための心の準備をしておくことがとても大切なのです。

【まとめ】
  • もし、あなたの心を満たしてくれる一人の人を探してしまう傾向があるのなら、多くの人とコミュニケーションを持とうとすることが大切です。

10-4.自分できちんと決断すること

自分で決断しないと、その後に起こることに、自分で責任が取れなくなってしまいます。

また、状況に流されているだけなのに、その結果、良くないことが起こると、「あの時、こうして置けば良かった・・・」と、実際に決断をしていないことを忘れて悔やむようになってしまいます。

しかし、どんな些細な事でも決断していくことを続けていれば、失敗を後悔として感じるのではなく、反省の材料として、未来につなげる事ができるようになると思っています。

【まとめ】
  • 将来に後悔しない為に、今できる決断は、きちんと決断していきましょう

【補足】 10-01. 違和感に慣れようとする

自分にとって良いことをしてもらった時に、自分の心に生じる違和感は、嬉しいことをしてもらうことに慣れていないから感じるだけなんだということにして、深くは考えないようにしましょう。

もし、それをしてくれた相手に何と言えば良いのかよく分からない時は、とりあえず「ありがとう」と言ってみると良いと思います。

そんなことを繰り返しているうちに、違和感は次第に薄れ、自然に、ありがたいことをありがたいこととして素直に受けとめられるようになっていける、つまり、あなたは喜びと一つになっていけるのだと思います。

【補足】 10-02. 嫌な感じと正しく向き合う

10-2-1.傷つくということ

「傷ついた」と感じているとき、相手の言葉や態度などをきっかけに、 そこから自分が連想したことによって自分自身を責めている状態に陥っていると考えています。

自分が気にしている言葉を相手から聞くことによって、せっかく忘れようとしていた自責の念を思い出し、再び、自分自身を責める状態が始まってしまうのです。

そして、心が傷ついた事にして、自分が嫌な気持ちを感じているところから離れることが、傷つくことの意識されない目的の一つなのです。

「心が傷つく」ということを考えるとき、相手に悪意があるかどうかが、重要なポイントになります。

仮に、相手に悪意がある場合は、傷ついてしまってもやむを得ないと思えるところはあります。

でも、悪意が無い場合、傷つくことに必然性はないのです。

そして、自分の周りの人たちをもう一度眺めてみると、「本当の意味での悪意」を持った人がほとんど見当たらないことに気付く人は多いのではないでしょうか。

つまり、相手に悪意が無いとしたら、自分を苦しめていたのは、自分自身なのです。

【例】
Aさんは、「私には服のセンスがない」と気に病んでいます。
「私は派手な服は似合わない」と少しコンプレックスを感じているBさんは、Aさんの着こなしをとても羨ましく感じ、「今日のあなたの服は、派手で良いわね!」と憧れの気持ちを微笑みで表現しながら言いました。
その言葉を聞いたAさんは、あざ笑われたように感じて、自分のセンスのなさを責め、辛い気持ちになり表情は一変しました。
重い雰囲気を感じたBさんの顔から、愛情のこもった笑顔は次第に消えていきました。

素直に気持ちを表現したり、相手が誤解しないように伝えたりすることは、意外に難しいことです。

相手の言葉には、表現不足や言い間違いなどが、意図せずして含まれているのは、普通のことなのかもしれません。

何かを言った後で、「こう言った方が良かったかもしれない・・・」などと感じたりするのは、自分自身が、そのことに気づいたということです。

ですから、傷つきそうに感じた時は、「『傷つくこと』に対する許し」を自分自身に与える前に、「相手に悪意はないのかもしれない」ということを、まず、疑ってみることは大切です。

「自分を責める」とは、「自分を変えることで、自分がイメージしている環境に適応しようとすること」と理解することができます。

「自分を変える」ということから、その理由を「自分に問題があるからだ」と考えてしまっても仕方ないところがあります。

でも、本当の問題は、自分ではなく、今の自分が見に付けてしまっている世界観という記憶にあるのです。

ですから、世の中の「無数にある価値観」の中から、どのような価値観を自分が選択しているかに気付くことは、そのイメージが修正され、「変わらなくても、とっくに適応していた」ということに気付いたり、「すぐ近くに、適応できる別の環境がある」と気付くきっかけになるのです。

【補足】 10-03. 自分の求めているものを与えてくれる相手を探す

10-3-1.自分が反応するものを理解する

自分の苦手な相手というのは、実は間違いで、相手の本質には関係のない次のようなところで反応してしまっていることがあります。

【例】  ・表情 ・雰囲気 ・容姿 ・仕草 ・態度 ・言葉 ・口調 ・・・

「生理的に嫌い」という言葉は、妙に説得力のある言葉なのですが、この言葉で表現される心の反応は、この典型です。

これら自分の苦手なことに対しては、恐らく、相手が変わったとしても同じように反応する事が多いのではないでしょうか。

ですから、相手に反応しているのではなく、それらの要素に反応しているということに気付くこと、そして、相手の気持ちをあれこれと深く考えずに、それらの要素が苦手なんだと認識することが大切です。

苦手な表情や仕草や行動などがないかを洗い出しておくだけで、今後の自分の反応が、これまでとは違ったものに変わっていくきっかけになります。

また、それを事前に知っておくことは、次にそのような表情にであった時にあなたに生じる気持ちは、その人とあなたとのコミュニケーションの結果として、あなたが感じた気持ちではないと気付き、もっと自由に振る舞うことを手伝ってくれることでしょう。

【補足】 10-04. 自分できちんと決断すること

10-4-1.決断することの大切さ

決断するということは、自分の望みを、自分の行動に組み入れる事を意味します。

決断をしていない場合は、「何か良いことが起こりますように」とお祈りだけをしているようなもので、何が起こるかは、自分以外に任せてしまっているのです。

これでは、運任せになってしまい、自分の力で、自分の望みを手に入れる確率は低くなってしまいます。

10-4-2.「自分は決断した」と錯覚してしまうこと

自分が何の決断をしなくても、周りの決断に流されて、色々な経験をする事になります。

流されて、その結果、自分にとって良いことが起これば特に意識される事は無いのですが、自分にとって良くないことが起こった場合、自分が選択していないことをすっかり忘れてしまって、「あの時、違う方を選択しておけば良かった・・・」と後悔の念に駆られることになるのです。

また、他人の決断をいくら責めてみても、いつまで経っても自分の望みは叶わない、という状態に陥ってしまうこともあります。

ですから、これからは、周りに流される時でも、「今回は、自分では決めずに、周りの決断に身を任せてみよう」と決断することが、将来起こることを後悔するのではなく、反省出来るように準備する事につながるのです。

10-4-3.「自分は決断していない」と錯覚してしまうこと

「~すべき」という考えは、自分で決断することを放棄するための呪文の一つです。

「すべき」という感覚によって反射的に決断したとき、他の人には、その人がそうすると決断をしたように感じられます。

しかし、その人の中で、はじめから何かによって決められていただけで、その人の本来の自由な意志は組み込まれていません。

そこにも多くの選択肢が隠されています。

そんな選択肢の中から、一つの選択肢を選んでいるのです。

にもかかわらず、恐らく、本人は、自分がそれを選択すると決断して行動しているという自覚を持つことができません。

これが、『させられ感』というものにつながっていくのです。

10-4-4.決断する時のポイント

  • 自分の中の全ての気持ちを大切にするように決断する

もし、ネガティブな感情がある場合は、決断の前に次のようなことを考えれば、きっと、本当の気持ちを大切にできる決断を助けてくれるはずです。

  • それが過去の感情であれば、まず、癒されようとする
  • それが未来の感情に対する不安であれば、その後、どのようにして癒すのかを考える

そして、安心な気持ちの中で、 他の人たちの全てが満足するような決断を見つけようとし、自分の行った決断を臨機応変に修正することを続けていけば、きっと、自分を含めたみんなが満たされる状況を実現していくことにつながることだと思います。

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