仮面うつ病

説明

うつ病の精神症状が軽微で、精神症状よりも身体症状に意識が向いてしまいがちなうつ病です。
身体症状治療の為の診療のみになりがちな為、身体症状以外の気持ちの面にも意識を向けて、気になるところがあれば、精神科や心療内科などを受診することも、適切な治療を受ける為には大切なことかもしれません。
もう一つの説明

恐らくですが、空の巣症候群や燃え尽き症候群になる以前の状態やワーカホリックと呼ばれているような状態が、これにあたるのではないかと考えています。
自分の心にいつも感じる『苦しさ』や『虚しさ』といったものがある場合、それを解決したいと思うのは普通の心の流れです。
そして、その結果は、一般的には、次のいずれかになります。
- 様々な人との関わりを通して、結果的にそれが解決してしまう
- いくらそれを解決する方法を見つけ出そうとしても、本当にそれを解決できる方法にはたどり着けず、いつまでもそれから逃れることができない
前者は、解決するので、ここでは説明は省略します。
(ポイントは別のところで説明することとします。)
次に、後者について説明します。
その全ては、『正しい解決法』以外のこと
心の苦しさを解決しようとする中で、
- これを解決したら心は満たされるかもしれない
- これを自分の生きがいにしよう
- 苦しさやモヤモヤなどの感覚を、未対処のまま放置してしまう
- 「それを解決できたら苦しみから解放されるだろう」と考えるが、それに手を出さずに回避する方向で対処する
というような目標になりそうな何かを無理矢理見つけ出そうという試行錯誤を繰り返す状態に陥りがちになります。
新しく始めたことや生きがいと決めたことを三日坊主で手放すことができれば問題ないのですが、結構シックリ来てしまったり、生きる目的と思いやすいテーマにあたってしまうと、もともと持っていた苦しさなどの感覚はそっちのけで、そのテーマに没頭してしまうことがあります。
これが仮面うつ病といわれている状態だと考えています。
ここで問題なのは、『何かに没頭する』ということではありません。
ということが問題なのです。 これは、 という『恐怖症的なコンプレックス』とは逆の状態ということもできます。
心の苦しさに限らず、『何かが解決する』と思われること、つまり、何らかの『課題』があれば、手当たり次第に手を出してしまうような感じです。
次々と課題を見つけ出してしまうため、心身をゆっくり休めることが苦手なところがあります。
また、一生懸命に苦しさにフタをしようとしているので、他人に助けを求めることも苦手になっているところがあります。
もともとの心の苦しさと直面せざるを得なくなるとき
というのが、はじめに書いた 『 空の巣症候群 』 とか 『 燃え尽き症候群 』という状態だと考えています。
「お正月に寝過ぎたら『うつ病』になる」なんてことをいう人もいるようですが、正月の寝過ぎもそれが本質なのではなく、対象が消失したときと同様に、自己催眠から覚醒するきっかけに過ぎないのだと考えます。
このように、心の苦しさを麻痺させながら頑張ってばかりいると、最終的には
- 精神的な疲労が極限に達してしまって突然うつ状態に陥ってしまったり
- 身体的な限界を超えるまで疲労を蓄積させてしまい、身体的な病気になってしまったり
- 感覚を麻痺させることに慣れてしまっているために、身体的症状による感覚を見逃し、病気を悪化させてしまったり
疲れに気づいて休む
ということは大切です。
まず、休日に、丸一日、何もしないで日向ぼっこでもしながら、ゆっくり休もうとしてみて下さい。
もし、「何かしないといられない」とか「落ち着かない」といったことを感じるとしたら、ちょっと注意が必要です。
とりあえず、「自分は何もしないでのんびり過ごして、心身を休ませることが苦手だ」という自覚をしてください。
このように自覚するだけでも、『疲れた時には心と体を休ませる』という習慣が身につき始めるきっかけになります。
あまりにも体を酷使してしまう傾向が強いという自覚があれば、まず、精神科や心療内科、或いは、内科などの医師に相談することも検討した方が良いかもしれません。
また、心理カウンセリングは、自分の感情や感覚にも意識を向ける練習になり、自分の体の調子やリズムに気付くことが上手になって、心と体の両方を大切にできるようになるきっかけになるでしょう。