心を楽にするために振り返る子育て

家庭内モンスター・ペアレント

『モンスター・ペアレント』というと、一般的には、

  • 自分の子供を守るために対外的に圧力をかける親
  • 自分の子供のことで、子供に関係する各所にクレームを付けて改善を強いる迷惑な親

を指す意味でつかわれています。

この言葉は、そのような行動をする親たちを『問題のある親』と認識する人たちが、その人たちを排除する力を生み出そうとするために考えられた言葉ですから、そう認識するのは当然なところがあります。

しかし、そのような見方だけをしていると、全体の中での位置づけが分からなくなってしまうところがありますので、そこを補うような説明をしてみたいと思います。

(その行動に関する説明は、モンスター・ペアレントで説明しましたので、そちらの方をご参照ください。)

モンスター・ペアレント

『家庭内モンスター・ペアレント』なんて言葉を使っていますが、そのような言葉を定着させようとしているわけではありません。

逆に、モンスター・ペアレントなんて言葉を使おうとすると、何にでも使うことができるということを知ってもらい、逆に、『モンスター・ペアレント』という言葉から解放されて欲しいと考えています。

モンスター・ペアレントという行動パターンに陥る背景

モンスター・ペアレントと呼ばれる行動パターンに陥る要因は、

自分の子供には、自分と同じような苦しい思いはさせたくない

という親心から来ていて、また、そんな思いにとらわれてしまうのは、

それほど、親自身の経験が苦しかった

という背景があるということは、『モンスター・ペアレント』のページで説明しました。

一般的に認識されているモンスター・ペアレント的行動パターン

一般的に認識されているモンスター・ペアレント的行動パターンについても、『モンスター・ペアレント』のページで説明しましたが、再度記述すると、

  • 一旦、自分の子供をつらい気持ちにさせてしまうと、自分の子供も、また、あのつらい思いをすることになる。
  • だから、子供にそんな経験をさせないように、他人に変ってもらうしかない。
  • 周りに変ってもらうしかない。
  • 環境に変ってもらうしかない。
  • 自分の子供を守るために、自分がその環境を変えるしかない。
  • 自分の子供を守るために、自分がその相手を変えるしかない。

という思考によって、親がそれを実現するために引き起こされる行動と認識することが出来ます。

この思いによって引き起こされる行動を考えたとき、モンスター・ペアレントと認識されていない行動が浮かび上がってきます。

それを、『家庭内モンスター・ペアレント』と位置付けて説明していきます。

家庭内モンスター・ペアレント

家庭内モンスター・ペアレントという行動パターンの原動力となるのは

  • 自分の子供を守るために、自分が子供自身を変えるしかない

という思いです。 これらは、親自身の心の苦しさの原因認識と、それに関する偽解決が関係しています。

偽解決については、別途、説明したいと思います。

この苦しさの原因や偽解決は、根本原因と繋がっていることは少なく、過去の経験とその時に意識の向かった方向によって、人それぞれさまざまなバリエーションを持つものとなります。

教育方針は、ほとんどの場合、そのような親の過去の経験に基づいて形作られています。

つまり、教育方針は、

  • 親が苦しかった(今も苦しい)

ということの裏返でしかないのです。

教育方針

家庭の教育方針という聞き慣れた言葉がありますが、いずれかの親が特定の方針に強くこだわっている場合、この家庭内モンスター・ペアレントという状態に陥っているということができます。

  • どちらかの親が特定の教育方針にこだわている
  • 両方の親が特定の教育方針にこだわっている
    • 両親の教育方針が一致
    • 両親の教育方針が不一致

繰り返しますが、この子供の将来の幸せを願う教育方針は、親の過去の経験とその認知の仕方によって、人によって千差万別です。

子供の幸せは、子供自身が幸せだと感じているかどうかが重要で、親が考える教育方針が少しくらいは良い影響を与えることもあるかもしれませんが、主体は、やはり子供自身にあります。

子供の幸せは子供自身にしか分からないということです。

そして、その幸せを実現するために、子供は、主体的に生きているのです。

にも関わらず、親が、自分の教育方針をかたくなに主張してしまっているとき、自分がモンスター・ペアレント的な状態に陥っていると言わざるを得ません。

教育方針の違いは、お互いの苦しさを理解するきっかけ

もし、親自身が、配偶者との間で、教育方針の違いという事態に直面し、苦しい思いをしてしまっているとき、それぞれの親が、

  • 特定の教育方針にこだわっているということを自覚する
  • 自分の過去の人生を振り返って、なぜ、その教育方針にこだわっているのかに気づく

ということが大切です。

そして、「今の自分自身がそのことで苦しんでいる」ということに気づき、今の自分自身の心を癒すことが、子供のことを云々する前に、やらなければならないことなのです。

また、配偶者の教育方針へのこだわりに気づいたら、配偶者のこれまでの苦労をしっかりと聞いてあげれば、相手の気持ちは次第に癒されていき、夫婦仲が改善する方向に向かうとともに、特定の教育方針へのこだわりから解放され、家庭が家族みんなの癒しの場としていくことにつながるのです。

意識の集中(こだわり)が自分の行動を見えなくする

恐らく、モンスター・ペアレントと周りから思われている親たちは、モンスター・ペアレントと呼ばれている人が世の中に居ることは知っていても、まさか、自分がそのような状態に陥っているとは気づいていないと思います。

親の気持ちは、子供の幸せを願う教育方針やしつけの方針に意識が集中し、それを守るために必死に、それにこだわっているだけなのです。 それにこだわっているから、それに伴う行動は、当然、正当化されてしまいます。

ですから、自分自身は、理不尽な行動をとっていることに気づくことはありません。

こだわりは、その人の周囲にも無理を強いるばかりではなく、自分自身にも無理を強いることになるので、みんなを苦しませることになります。

しかし、その自分自身のこだわりに気づくことは、とても難しいところがあります。

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