06 心の苦しさを回復できなくなる原因
心に悲しみや苦しさなどの感情をため込んだままにすると、いつまでも余計な思考が繰り返されて頭は疲れてしまいます。
また、緊張状態が続くので、体も疲れてしまったり疲れがとれにくくなったりします。
蓄積された感情は、ものごとへの執着を引き起こしたり、怒りの状態に陥らせたりすることもあります。
このようなことにつながる感情をため込んでしまう傾向を身につけてしまう背景を説明します。
例えば、自分にとっての悲しみを繰り返し否定されると、「このようなことに悲しむべきではない」と考えるようになってしまい、やがて、自分の悲しみに気付けなくなってしまいます。
悲しみに気付けなくなれば、当然、その感情を排出することはできません。
更に、悲しみを排出できなかったことも、つらい経験として心に刻まれてしまいます。
悲しみや苦しさなどのネガティブな感情に限らず、喜びなどのポジティブな感情でも同じです。
嬉しいことがあると気分は高揚しますが、誰かが一緒になって喜んでくれれば、やがてクールダウンして落ち着きを取り戻します。
しかし、喜びを表現して排出できないと、高まったテンションはなかなか静まりません。
また、自分にとっての喜びを否定されると、「このようなことは喜ぶべきではない」と考えるようになってしまい、やがて、自分の喜びに気付けなくなってしまいます。
更に、喜びを排出できなかったことが、つらい経験として心に刻まれてしまいます。
喜びに気付けなくなれば、当然、その感情を排出することはできません。
生じた感情を排出できずにため込んでしまうと、心はモヤモヤして余計な思考や活動が引き起こされてしまい、心身を疲労させ、やがて、心理的な問題を引き起こすことにもつながります。
逆に、自分に生じた感情を排出することによって、過去の感情から解放されて、目の前のことに対する純粋な感覚や感情に従って行動できるようになります。
「感情の排出によって自分らしい行動を取り戻せる」ということからも、「感情の排出によって、心は回復する」ということができるのです。