13 心理カウンセリングをやめたくなる理由

心理カウンセリングを受け始めたけれども、心理カウンセリングを続ける意味が分からなくなって、心理カウンセリングを続けるかやめるかを迷うことがあります。
そんなときは、次のようなところで迷いが生じていると思います。
(1)役に立つかどうか分からない
(2)役に立ちそうな気がしない
(3)役に立たない
(4)心理カウンセリングを受けることが苦しい
(1)~(3)については、本書の説明を参考に考えてみて下さい。
ここでは、「(4)心理カウンセリングを受けることが苦しい」と感じるようになる原因を考えてみます。
【心理カウンセリングが苦しくなる原因】
(a)過去のつらい経験を思い出し、そのときの感情を頑張って表現しても、心理カウンセラーがその感情を受容できない
(b)相談者が問題を解決するためのアドバイスや指示が多い
(c)相談者が変わるためのアドバイスや指示が多い
(d)相談者の感覚や感情を否定される
(e)相談者が、心理カウンセラーとのやりとりで生じた感情を、心理カウンセラーに伝えずに隠して蓄積させてしまっている
(f)心理カウンセラーの言葉に、自分にとっての言葉の意味を重ねることによって、相談者が勝手に自分が責められたり否定されたりしていると感じてしまう
(a)~(d)は心理カウンセラー側の要因で、(e)と(f)は相談者側の要因です。
もともと、心理カウンセリングは楽になるためのものなのですから、心理カウンセリングを受けて苦しくなるようなら意味はありません。
日本人は「苦しさの向こうに、自分が欲しいものが待っている」と感じる傾向があるようなのですが、1つの例外を除けば、そのような考えを心理カウンセリングに当てはめる必要はありません。
その例外とは、「(e)相談者が、心理カウンセラーとのやりとりで生じた感情を、心理カウンセラーに伝えずに蓄積させてしまっている」ということです。
これを回避するには「自分の感情を表現すると、心理カウンセラーにその感情が受容されて楽になる」という体験をする必要があり、そのためには「自分の感情を相手に伝えようとするときに生じる不安」という苦しさと向き合わなければならなくなります。
これだけが、心を楽にするために乗り越えなければならない唯一の苦しさだと考えています。
ちなみに、自分に生じた感情を心理カウンセラーに小まめに伝えることによって、過去に身につけてしまった言葉に対する特殊な意味付けが修正され、(f)の苦しさからは次第に解放されていきます。