ひきこもり(引きこもり)
説明
自分の部屋に閉じこもったり、他者とのコミュニケーションを必要以上に避けようとします。
もう一つの説明
『ひきこもり』という状態は、何かに反抗していたり、何かを拒絶しているというよりは、
と説明できると考えています。
- どうして、そのように思い込んでしまったのでしょう?
- どうして、そのように思い込ませてしまったのでしょう?
そこがポイントとなります。
【参考】
メルマガ「読むカウンセリング」バックナンバー :
『苦しさの中で人に自然に生じる行動や症状は、心理療法と同じところがある』
心理百科事典 : 『機能不全家族』
ひきこもりの状態に苦しんでいる方へ
事実を知る
あなたは、「自分の気持ちを一番分かって欲しい」と願っていた人に、受けとめてもらえないと感じてしまっているかもしれません。
そして、それを強く諦めることで、「それを本当は望んでいる」という自分の本当の願いに封印をしてしまっているかもしれません。
でも、『あなたが望むことを諦めさせた人』以外の人の中には、あなたの願いを叶えてくれる人はたくさんいるという事実を知っておいて下さい。
そして、あなたが、そんな人に出会える可能性を信じて下さい。
自分の周りに、一つだけでも、信頼できると思える人間関係をもつことは、他のそんな人たちと出会えるチャンスを増やすきっかけになります。
チャンスを活かす準備をしておく
ですから、そんなチャンスが訪れたときに、したいことができるように、準備をしておくことが大切です。
自分の気持ちを理解してくれる人が目の前に現れたら、
- どんな気持ちを分かってもらいたいのだろう?
- どんな時に、どんな事をしてもらえたら嬉しいのだろう?
- どんな時に、どんな事を言ってもらえたら安心できるのだろう?
などということを、具体的に考えておくことが、とても大切です。
話す相手
そんな気持ちの確認ができたら、次に、身近に、そんな相手をしてくれそうな人がいないか見渡してみましょう。
いつも、同じ人である必要はありません。
話の内容によっては、誰でも良いこともありますし、「この人に聴いて欲しい!」と思うこともあります。
言葉の魔法
『本当の気持ちを話せる親友がいないから、離せない』というのは、『友達』や『親友』などという『言葉の魔法』にかかって惑わされているのです。
人を、親友・友達などと分類することは出来ません。
これらの言葉には、世の中の多くの価値観(他人の主観)が紛れ込んで、その意味合いが曖昧になってしまっています。
そして、そんな他人の主観に意識が集中してしまうと、自分の主観に意識が向かなくなってしまいます。
仮に分類したとしても、その妥当性を検証することはできませんし、自分の主観を含まない分類には何の意味もないのです。
- 君は、わが国では、ランチョンマッピーに分類される人だ
自分の主観こそ頼るべきもの
もし分類するとしたら、
- 知っている人、知らない人
- 好きな人、苦手な人
- 話しやすい人、話し難い人
- 良く話を聴いてくれる人、話を聴いてくれない人
といったようなことくらいです。
それらは、自分の主観を頼りにして分類です。
逆に、自分が相手を親友だと思えば、その人は自分にとっての親友になります。
相手が自分のことを「親友と思っているのか?」なんていうことは、どうでも良いことなのです。
ですから、話し相手は、そんな呼称にこだわれずに、自分の主観を頼りに、臨機応変に選べば良いのです。
身近な人に信頼できそうな人間関係を見つけることが難しいと感じる時期は、心理カウンセラーとの関わりから始めようとするのも、一つの方法です。
- 自分の気持ちを分かってくれない人に、分かってもらおうとすること
- 自分の気持ちを分かってくれる人に、分かってもらうこと
親の立場の方へ
子供の引きこもりは、親の思いとは裏腹に、親が関わりを持とうとすればするほど、その行動に拍車を掛けてしまうことがあります。
これは、
- 子供が欲しいと思っている愛情を、親が与えているのか?
- また、子供が、自分の欲しいと思っている愛情を、受け取ったと実感できているのか?
というような『子供の主観』に目を向けることが必要なのです。
そして、実際には、
- 本来甘えたりわがままを言ったりしたい対象である親が、自分を守ってくれる存在ではない
ということになってしまっているのです。
親は、社会通念と比較して、『ひきこもり』という行動面を問題にしてしまいがちです。
しかし、そこには、「そうせざるを得ない気持ち」があります。
その気持ちを理解しようとする姿勢が大切です。
コミュニケーションの再構築
コミュニケーションに対する感覚の基盤は、これまでの家庭内で行なわれていたコミュニケーションによる経験が元となっています。
そして、『ひきこもり』という状態に陥っているときは、過去の家庭内での経験から、本来の自分が望んでいるコミュニケーションに対する諦めのような感覚が背景となっていることがほとんどです。
その家庭(特に、父親や母親)のコミュニケーションの傾向性を振り返り、子供の気持ちを尊重していなかった部分に気付き、信頼関係をゼロから作り直そうとする必要があります。
親の苦しみは、親自信が解決する
信頼関係を再構築する準備として、まず、次の確認を行なって下さい。
もし、あるとしたら、親は
、と決断し直す必要があります。
『子供には、自分の二の足を踏ませたくない』という気持ちから親が行なう子供への指導は、『親自身の苦しさを子供に解決させようとしている』に過ぎないからです。
(特に、子供に何かを強く強制している場合に当てはまることが多いです。)
これらの指導や行動は、「子供のため」、「おまえのため」という枕言葉によって始められることが多いのですが、実質的には、子供にとっては、『自分の自由を奪う理不尽な制限』である以外には、何の意味も含まれないのです。
親に、子供に何かを強制しようとする傾向が強くある場合、『親自身が苦しい気持ちを抱えたまま放置してしまっている』可能性が大きいのです。
ですから、子供のことに取り組もうとする前に、まず、親自身の苦しみを、自分自身のこととして、解決しようとすることが大切なのです。
親が解決してしまえば、子供に、情報として与えたとしても、それを絶対的に強制するような状態からは、解放されるのです。
このように、親が楽になると、子供も親の制約から解放されて、楽になりはじめます。
そして、親からの「変れ変れ」といった攻撃から解放されてくると、自室から居間に出てくるようになります。
これが、ひきこもりの終結の始まりです。
子供が部屋に引きこもっている場合、「社会からひきこもっているわけでも、学校からひきこもっているわけでもないのです。
逆に、ひきこもりの有無は別にして、
- 家庭の中に、『 子供が居間に居つかない傾向 』 がある
というとき、親は自分自身の心の苦しさを未解決のまま放置してしまっている可能性があると考えることも出来ます。
そんな親自身の心の苦しさに気づいたとき、「自分の苦しさは、このままでも構わない」などと、これまでの諦めを続けようとはせずに、
- 子供のために
- 家族のために
- そして、自分のために
気付いた自分の苦しい気持ちを楽にしてあげようとして下さい。
その方法はとても簡単です。
- つらい気持ちを正直に話す
- 話した気持ちを、そうかそうかと聴いてもらう
たったこれだけのことで、それが実現できるのです。
【参考】そうかそうかムーブメント
可能であれば、身近な誰かに、あなたがこれまで抱えてきた苦しみを、打ち明ける事から始めてみると良いと思います。
身近な人に打ち明ける事が難しいと感じる時は、カウンセリングの利用を考えても良いと思います。
- 子供の何かを解決するためではなく、親自身の苦しさを楽にするために・・・・・
そして、親が安心な気持ちに慣れるようになったとき、そんな安心の中で子供は自然に癒されて、「外で傷ついても家庭で癒されるだろう」という安心の予感があるから、不安だらけの外の世界に出て行くことができるようになるのです。
成人後の『社会的なひきこもり』と呼ばれている状態も、根本は同じところにあると考えています。
関連書籍
※ 関連書籍は、その内容を確認したわけではありません。
参考程度に掲載しています。