自傷行為・リストカット
説明
「死」を目的とはしないが、自分の体を傷つける行為で、習慣的、そして、発作的に行われる事が多い。
間違って、死んでしまう事もある大変危険な行動です。
もう一つの説明
「言葉で伝えようとしてみても、伝えたい相手に伝わらなかった」ということを過去に繰り返し経験していると、「自分の気持ちなど言っても分かってもらえない」という感覚を身につけてしまうところがあります。
しかし、人は、自分の気持ちを誰かに分かってもらいたいものです。
そこで、伝えたい相手には、言葉以外の方法でしか伝えられないというところまで追い込まれて、リストカットなどの自傷行為を起こしてしまうのです。
本人は、その行為の意図を意識できなくなっていても、心の底では、「今度こそ伝わってくれ!」と叫んでいるのです。
自傷行為は、自分の命を掛けたギリギリの部分での叫びです。
命がけの叫びであるということは、間違って本当に死に至ってしまう恐れがあります。
習慣化した自傷行為
この前に説明したことは、明確ではなくても意思をもって行われる自傷行為です。
次に、それとは異なり、習慣的に行ってしまう自傷行為について説明します。
これは、リストカットによって生じる痛みに依存してしまうことによって陥る状態です。
リストカットなどによって生じる痛みを感じると、慢性的に胸部に感じる不快感(心の痛み)からより強い痛みの方に意識がそれるので、しばらく胸部の不快感を意識しなくても良い状態になることができます。
つまり、リストカットなどの自傷行為をしたときだけ、心の苦しさから解放された安らかな時間を取り戻すことができるのです。
この依存行動は、心に抱えている不快感を解消することができれば、必要無くなり治まっていきます。
【参考】
それぞれの立場の人へ
親の立場の人へ
自傷行為を繰り返す人と関わる人の中には、「子供の気持ちを理解できない」と感じてしまう傾向が強い人がいます。
そして、その気持ちを受け止められない分、その行為だけに意識が向いてしまって、その行為だけを禁止しようとしてしまうことがあります。
もちろん、自傷行為の禁止は必要なことですが、そこだけの対応になってしまうと、命を掛けたギリギリの叫びでさえ受けとめてもらえないというところにまで、更に追い詰めてしまう恐れがあるのです。
あなたの大切な人を、間違って死なせない為に、子供の気持ちから逃げないで、「この子は、どんな気持ちを伝えようとしているのだろう?」と真剣に向き合おうとすることが大切です。
自傷行為を繰り返してしまって苦しんでいる方へ
あなたには、
- どうしても伝えたい気持ちがある
- どうしても分かってもらいたい相手がいる
ということに気付いてください。
その相手が、あなたの気持ちを受け止めるかどうかに関わらず、あなたの伝えたい気持ち、伝えたかった気持ちをもう一度、言葉に書き出してみてください。
- どんな時に、どんな事をしてもらえたら嬉しいのだろう?
- どんな時に、どんな事を言ってもらえたら安心できるのだろう?
そして、そうしてもらえなかった時のあなたの気持ちも書き出してみてください。
そんな気持ちを、身近な誰かに話し、そして、しっかり受けとめてもらうことができれば、きっと、心の苦しさから抜け出すきっかけをつかむことにつながります。
身近な人に、本当の気持ちを話せそうな相手を見つけることが難しいと感じる時期は、とりあえず、心理カウンセラーを話し相手としてみることも、そんなことの助けになるはずです。