02.本能的側面
2.本能的側面
人の精神の成長には、
- 本能的な部分
- 文化的な部分
とが複雑に絡み合って影響しているように思います。
まず、本能的側面を考えてみます。
①不安
人間に近いとされている猿は、多くの場合群れで行動します。
そのことから、猿の一種である人間も、本来『群れで行動したい』という本能があると考えられます。 動物が群れを作る目的は、
- 敵に狙われたとき、自分がやられる確率は、群れの頭数に反比例して減少するから
- また、エサを探すときも、自分一人で探すよりは、容易になるから
などと言われています。
その逆として、群れから離れることは、
- 他の動物に襲われる危険性が増す
- 食料を見付け難くなる
ということになり、自分が安心・安全に生きていくためには悪い状態となってしまいます。
そこで、そのような状況に陥りそうになったり、陥ったときには、それを回避する為(ため)に、不安を感じる本能的な機能があるように思います。
逆に、本能的な行動を起こさせるために、不安を感じるということもできると思います。
②気持ちの伝達
人類が言葉をどのように獲得したのかという説は色々考えられるのですが、
言葉を話さなかった人類が、話すようになった
ということは、揺るぎのない事実です。
言葉の機能が「コミュニケーション」であることを考えると、人類が言葉を用いなかった時代においても、言葉を生み出すほどの「自分の気持ちを相手に伝えたい」という強い欲求があったことの証明になるのではないでしょうか。
これらのことから、私は、人類が
- 群れの中にいようとすること
- 『相手に自分の気持ちを伝えたい』という欲求を持っているということ
は本能に近い感覚で、大切に扱われるべきことだと思われます。
現代において、人類が文化として子孫に伝えていかなければならないものに、国家・社会・企業の思惑や氾濫した情報など余計なものも入り混じってくるため、純粋な人ほど混乱してしまうところがあります。
現代の社会において、もっとも注目すべきことは、特に都会において、「地域の人(地域という群れ)と深くかかわらない」という傾向が大きくなってきているところがあります。 これは、
- 人と深くかかわらないことが安心で安全な生き方と認識する傾向が強くなっている
- 転勤などで人が地域への定着が阻害され、本能的な欲求の実現が妨げられるため、不安な気持ちが増大してしまっている
と考えることもできますし、 と考えることもできます。