01.群れる動物と群れない動物
1.群れる動物と群れない動物
人間の歴史を振り返ると、家族でかたまったり、集落を作ったりして、いつも何らかの集団を形成して生存していたのだろうと思います。
その集団という形態は進化して、今では国家という集団を形成するに至っています。
この国家を形成するということも、結局は、人間の祖先が『群れをつくる猿』であるということの延長線にあるだけのことのあのだろうという気がします。
「集団」という形態がどのように進化していくかを考えるのは学問に任せるとして、
- 人間には群れる習性があり
- 『群れる』という概念からは逃れられない宿命をもっている
といえるのだと思います。
群れを形成すると、その群れの中で他の個体と共存していかなければならないという課題が生じます。
個々が自分勝手に行動をしていたのでは、群れという構造を形成し維持することは出来ないからです。
つまり、群れる動物にとって、他の個体との関係性を形成し維持することは非常に重要なことなのです。
ですから、人の心には、自然に、『関係性の心理』が働いてしまうのだと思います。
群れない動物(たとえば、クマ)は単独で行動することを前提として生活しています。
このような動物は、それに合わせた本能が形成されているのでしょう。
一匹で生きていけるほどに強かったり、強さ以外の能力を持っていたためそうなったのかもしれません。
ですから、一匹でいることに不安も感じることも少ないのではないかと想像します。
逆に、動物が持つ警戒心につながっているのかもしれません。
このような動物にはあまり関係性の心理はあまり働かず、個が生存するための心理(自分の命を守ったり、食料を獲得したり等など)の占める割合が大きいように思います。
まとめると、人も動物としての本能から逃れられないという前提に立つと、人間の心理を考えるときには、
- 関係性の心理
- 「個の存在」のための心理
の2つについて注目する必要があるのだろうということです。